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蒟蒻問答、吉田朗が過去作を順不同でふれていきます。前回の犬張り子からの「日米同盟」つながりで、今回はF-15戦闘機と練習用1万円紙幣と米ドル札を用いて制作した作品でいこうと思います。

作品No.16
money plan(e) ¥実際に使用できません US$効率的消費活動

「money plan(e) ¥実際に使用できません US$効率的消費活動」/ ''money plan(e) ¥cannot be used actually US$ efficient consumption activities'', 2003, Mixed media sculpture

この作品はF-15戦闘機をモチーフにして、日本とアメリカでのこの戦闘機の意味を対比させようと思い、日本版「 ¥実際に使用できません」とアメリカ版「US$効率的消費活動」の二つを組みわせた作品になります。タイトルのmoney plan(e)は、money planで金策、money planeでお金の飛行機、の二つの意味を持たせようと思い、(e)という表記にしてあります。

日本版「 ¥実際に使用できません」は、サイズを1/10にした、自衛隊機F-15Jのペーパークラフトに、練習用の紙幣10億円分を併せて展示した作品です。

F-15J戦闘機は世界最強を言われている攻撃用戦闘機で、一機で約100億円という世界で最も高価な戦闘機の一つです。サイズ、金額スケールともに1/10にしようと思い、デパート等で使うレジ打ちの練習用の紙幣を10億円分印刷して、展示しました。

日本は国策として専守防衛を掲げています。その日本におけるこの戦闘機の使い道というと「練習用」となってしまうのかなと考えました。

以前、ショッピンセンターで展示を行った際にそのショッピングセンターで仕事もしている友人から、レジ打ちの練習用の紙幣というのを見せてもらいました。気になったので頼んでそれを貰っておき、その練習用の一万円紙幣からデータをおこし10億円分となる10万枚を印刷して使用しています。

10億円分の紙幣一枚一枚に刷り込まれた練習用の文字と、紙製のハリボテ感が、ちょうど良いのではないかと思っています。

一方のアメリカ版「US$効率的消費活動」は【超高額の戦闘機の墜落=最も効率の良い消費活動】という観点が成立し、その考えに基づき、戦争をしたがっている人間がいるのではないか?ということを表現しようと試みてみました。こちらは1/48のプラスチックモデルに本物の米ドル札の1ドル紙幣を貼り付けてあります。飛行機から伸びる雲には、隠された悪意ということで パッと見では分からないようになってはいますが、うっすらと花柄でHAPPYの文字がいれてあります。

この作品は、大学の学部を卒業した後、研究生で一年残っていてその最後に制作した作品です。この作品を制作した頃は、形を作る仕事と頭で考える仕事のバランスをいろいろと試していました。手仕事の要素を極力絞って、頭で作ってみようと思って制作した作品です。

これまでの制作でいくと、粘土原型、石膏どり、FRP、研磨、塗装といったパターンが多かったのですが、この時はP.Modelというペーパークラフトの作者さんや田宮模型さんに作品の一部として使用するが構わないか?と連絡をしてみたり、6畳のアパートで巨大なペーパークラフトを作ってみたり、段ボール4箱で来た10万枚の紙幣を100枚ずつ束にしてみたりと、なんだか不思議な制作体験ができました。

学生時代は多摩美大の彫刻科の中の諸材料研究室というところで学んでいました。さまざまな材料の中から、表現したいもの、ことに合わせて素材から選定していき、作品にいたるプロセスを重要視していくといった方向性だったように記憶しています。他の専攻は、石彫、木彫、塑造と彫刻技法をベースにゴリゴリ作業してマッチョにモノ作りを探求するいわゆる彫刻科な感じでした。諸材料だと、コンセプト的な作品をつくる学生もいるし、彫刻科だけど写真で卒制という学生もいて、アトリエで作業する学生は少数派でした。なので諸材料は軽いというかチャラい感じが少しありました。

自分はモノ作りが好きで、放っておくと作業性の方に行きやすいので、大学時代に幅のあるところで学べたのは良かったなと思っています。学生時代の作品のスケール、振り幅の自由度なんかは、のびのびしてて良いなと思ったりもします(雑なところも多いんだけど‥)。

次回は、兵器つながりと最近何かとニュースになっているということで、「北朝鮮とミサイル」をモチーフにして制作した作品に触れてみようと思います。

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