2018年師走、
京都市上京区大宮通椹木町上る菱屋町。
Art Fiber Endo さんにお招き頂き、作品制作。
お店の糸、どれでも自由に使っていいよ とのこと。
まるで、お菓子の家に来てしまったかのような夢のような贅沢に
クラクラしつつも、集中!集中!
あんまり迷惑かけないように
短時間で効率よく済むように
練りに練ってきた計画を、現場で覆す。案の定。
現物に触発される感覚。
目の前には、いい感じの 葦戸 。
古い物だが、軽くて頑丈。
京の暮らしのあちらとこちらの間を仕切る。触れて開く扉。
閉じていたって、風が通る。
ぐるりと山に守られたこの辺り。
応仁の乱の時は大変だったらしいけど、
町は、ずーっと続いてきた。
見えない糸を手繰り寄せてみる。
これが、この度のキャンバス。コラボするのだ。
桟の凸が厄介だから、
なるべく避ける計画だったが、ノンノン!
取り組むことに決めたから、さあ、大変。
ごっつい縄を用意して来たが、
繊細な手染めの糸に惚れてしまったから仕方ない。
知らない間に、お店の人も、カメラマンさん二人も、もうとっくに覚悟してくれていた...。
遅くまでお店を使わせてもらい、かつ、宿に持ち込み、
コツコツコツコツ。
久しぶりに、関西弁の環境だからなのか、
秘密基地を作るような、学園祭前のような、みんなで夜食を食うような懐かしい感覚。
野郎共、ありがとね。
柔らかな手染めの麻の糸。最終的には目立たなくなる役。
それを丁寧に何層も重ねて、ようやく準備完了。
最上層は、綿の糸。
日差しに輝く京の秋を頂いたような明るい鮮やかな赤、黄、白、橙。
店長さんが鼻唄歌いながらちゃちゃ〜っと染め上げたのだそうだが、
その気楽さが、とっても良い感じ。
ランダムなグラデーションが楽しく映える。
文字のところに、組紐。
「看板を作る」という使命はあったものの、
随分好き勝手に、いろんな試みを注ぎ込ませてもらいました。
糸で糸を描くというのも、初。
個人的には、
屋外作品であり屋内作品にもなれる というところにグッと来ています。う〜ん、ハイブリットォォォ〜。
お店の人の判断で、通りに出ていたり、
入り口に立て掛けられたり、店内に飾られたり、
或いはどこかに出張ることもあるかも。
Art Fiber Endo 店舗営業時間中は、どなた様でもご覧いただけますので、ぜひぜひお越しやす。
そうそう、
今回、Art Fiber Endo さんの熱烈な希望により、動画を撮影しました。
旅番組風の仕上がり。
界隈を散歩して、鯉と戯れたり、旧〜い仁丹の看板に萌えたり...
編集の都合上カットされたシーンもまた良き想ひ出也。
撮影中、タイトルを述べるこのタイミング。
正に、空からキラリと降ってくるように浮かんだ名前。
それが「看板娘」。
この町で、愛される存在になってほしいなと思います。
「 看板娘 」
2018, 糸 on 葦戸, 170 x 50 x 5 cm.
Artist is いしかわ かずはる
photo by 後藤巧
movie by documentary labo
supported by Art Fiber Endo & YUKARI ART
special thanks to 京都の皆さん