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舞台を見にいくのが好きです。お芝居も舞踏も劇場という装置そのものも。ギャラリーを開けてからはなかなか足を運ぶことが出来なくなってしまいましたが以前は下北沢の小劇場からNYのBroadwayまで幅広く行っておりました。

舞台の何が好きってそれは間違いなく「ライブ感」。パフォーマーと観客が同じ空間にいるというあの一体感。同じ演目でも次の日は絶対に同じではないのです、だって生身の人間がやっていることですから。それに舞台はごまかしがききません。台詞を間違えてもカットすることは出来ないし、歌が下手でも裏で編集がきかない。恐ろしいほどに演者の実力がばれてしまう。素晴らしい舞台俳優さんたちを見るとほれぼれしてしまいます。身体は身軽だし、声がよく通る。こういう方々こそが本当の「芸能人」なのだと感じます。

さてさて、お笑い芸人でありアートコレクターとしても有名なおかけんたさんがご自身のブログで開催中の展覧会「ゴミとITとわたし」を紹介してくださいました。

詳細はこちら→おかけんたブログ

おかさんこそまさに舞台人。数々のお笑いライブなどをこなしていらっしゃいます。「♪ええ声の人♪」として有名な方ですからギャラリーにいらっしゃると声が響く響く♪まさにお腹の底から出る声というのでしょうか、本当に聞いているだけで気持ちの良い声です。アートのコレクションにもこだわりを持っていらっしゃる素敵でおもしろい(!)方です。

ご本人はきっともう覚えていらっしゃらないと思いますが、以前ご来廊頂いた際に「私は舞台が好きなんですよ、だってライブでやり直しもごまかしもきかない一瞬一瞬が真剣勝負だから。」と申し上げたことがあります。それに対しておかさんは「僕はいつもライブをやっているから逆に完成された物が好きなんですよ。」とおっしゃっていました。本物の舞台人でいらっしゃる方が発したそのお言葉にはものすごく説得力があり、鮮明な記憶が残っています。

美術は一部のパフォーマンスなどをのぞき基本的には完成されたものを展示します。アーティストの陰での「ライブ」の積み重ねが目の前にある作品ということなのですが、完成された作品を展示するだけで舞台芸術の生の醍醐味を出すことはやはり難しいです。そもそも私は皆で何かひとつのものをつくりあげる「ライブ感」が好きで同じ時を生きるアーティストたちと仕事をしています。そしてギャラリーでの展示はご来場なさったお客様が若手作家のほとばしるエネルギーを感じられるものとなるよう心がけています。でもやはり本当のライブにはかなわない。そんなことを考えていた折におかけんたさんがおっしゃった一言には何かはっとさせられるものがありました。そして自分の仕事により誇りを持てたような気がしてとてもうれしかったのです。おかさん、その節はありがとうございました(笑)

「ゴミとITとわたし」展はお蔭さまでご好評を頂いております。皆様のご来場を心よりお待ちしております!

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