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いしかわかずはるからのメッセージとオンライン展「あした」の作品解説、後半です!
前半こちらから)

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さて、そろそろ具体的な解説に戻ることにします。

人んちの壁など、あちこちの空間を舞台とする時には、その場所との対話のようなものを楽しみながら作品を作ります。一方、キャンバスを舞台とする時には、キャンバスを「線」を活かすための「何もない場所」として、ではどんな「何もない」を演出するかということに結構な時間を充てます。新作ではその二つが近付きつつあるようです。

*「芋いのち」

先ほど便宜上「キャンバス」と言いましたが、画材屋さんで売っているあれではなくて、自分で選んだ布を使うことの方が多くなりました。「芋いのち」は、綿布を重ね、アクリル絵具(白+α)で地塗りをした上に、絹糸で描きました。線の太さに幅がありますが、一種類の糸の縒りを調節して表現しています。線が交差したり鋭角に曲がったりしていますが、そこは巧みの技であります。自賛御容赦。サイズは葉書を二枚並べたくらい。ちっちゃいです。視線をギュッと集中させたところに、繊細な広がりを得る扉が開いた気がするので、もう少し追ってみようかと思いますので、ご期待下さい。

*「常緑の木」

線の内容に合わせて縦横比を考えた自作の木製パネルに、ガーゼ生地を綾目状に張って重ね、レース用の綿の糸で描いています。写真になかなか撮れないのですが、背景の白にはギザギザした光と陰のムラが入ります。糸は若干光沢を帯びたなかなか良い発色しております。サイズは、新聞の1ページを半分に折ったくらいです。厚さは2cmくらい。ちなみにこの作品を制作中に年明けを迎えました。

*「卯月の若木」(緑の方)

今までキャンバス型の作品では、その前提として「微妙な白」を作ることに一生懸命だったのですが、今回思い切って、麻の色そのままにしてみました。そのままの麻布…いや実は、画材屋さんで売っているキャンバスの裏地を使いました。ですから、裏に白の地塗りが施されている麻布と言うのが正しいかもしれません。そしてこちらの面にも膠が一度引かれていると見てよさそうです。ちょっとした隠し味みたいなものです。今までに比べると少し印象が暗いかもしれませんが、どうでしょう、こういう色合いもいいかんじ? 糸は、ウール100%。サイズは、Lのシャツくらいで、厚さは2cmちょっとです。

*「卯月の若木」(紫の方)

紫にしました。色彩は「伝える強さ」を持つものだと考えていますが、その選択は感覚的で、説明は難しいですが、この線は、紫。生地は縞々。綿と麻の混紡です。生成りの白が二種類織り合わさり、紫の描線と相まって少し赤みを帯びているように見えます。この四角形はオリジナル。B4を縦に伸ばしたくらいの大きさで、厚さは2cm程度です。

*「あした」

こちらも、お手製パネルを基底とし、その上に混紡の生地を張ってあります。この生地には、縦に規則的、横に不規則的に、数種の織り方が繰り返されています。その静かな表情の上に、濃い緑の糸で描きました。縒りの調節の振り幅は、0.5~2mm。肉眼で実物を見ると、線の近くは、生地の表情が比較的抑えられて見え、また、ハレーションを起こしているわけでもないのに、なんとなく紫色の気配があるようないような。そこまで意図したわけではないのですが、おそらくこの組み合わせだからこそ得られた効果であろうと思われます。厚さおよそ2cm、胸から上が映せる鏡のような大きさです。

さてさて、長文にお付き合い下さいましてありがとうございました。2012年も邁進して参りたいと思いますので、よろしく、お互いがんばりましょう!

*いしかわかずはるのプロフィールやその他の作品はこちらへ。

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