先日とてもうれしい記事を拝読しました。

産経新聞のWeb版、産経ニュースの文化記事内で「文化部記者のお墨付き」としてギャラリーと開催中の展覧会をご紹介頂いたのです。題して

銀座から離れたギャラリー  ユカリアート・コンテンポラリー」(笑)

ギャラリーが集まるエリアから離れたところに開廊しているのは自分なりのポリシーがいろいろあってのこと。でもやはり目黒区の住宅街の中ですから「何かのついで」がそんなにあるような場所ではなく、こうして活動に注目してくださる方がいらっしゃるのは本当にありがたいことです。

以前に表参道(神宮前)を拠点に仕事をしていた時は何の苦もなくお客様が集まってくださいました。通りすがりの観光客の方(海外からの)が作品を買ってくださることすらありました。そのかわりに噂話がお好きな方(笑)も結構いらっしゃいました。残念ながら噂話には全く興味のない私、噂するのもされるのも好きではありません。現在の場所に開廊してからは、それでも足を運んでくださるお客様への感謝の気持ちはより一層強くなり、あまりよろしくないお話(笑)を持ってこられる方は一気に減りました。

「芸術活動」は孤独な闘いです。それは作品を生み出すアーティストにとってだけではなくギャラリーにとっても同じはず。常にお客様に自信を持って素晴らしい作品をご紹介するためにはいつでも自分自身の五感を研ぎすまさせておかねばなりません。そうするためには私には静かな環境(笑)が必要なのです。

といってもユカリアートは山奥にあるわけではありません!!最寄り駅となる学芸大学へは銀座(!)から日比谷線直通に乗ると20分強。東横線で渋谷から急行でふた駅5分ちょっと、自由が丘からも急行でひと駅3分です。駅からユカリアートまでは商店街を抜けて7、8分。この商店街が一歩路地裏に入るとまるで迷路のような不思議空間になっていて何やらおもしろいお店がいっぱい!3年たっても全く発掘しきれませんが。。。一度来てくださったお客様は「慣れると意外と近い!」とか「商店街がおもしろい!」とおっしゃってリピーターになってくださいます。どうぞ皆様も一度遊びにいらしてみてください。

さて、3周年記念展vol1はいよいよ今週の土曜日で終了します。本日は3人目の出品アーティスト片山大輔(かたやまだいすけ)をご紹介しましょう。

現在ギャラリー最年少、1984年生まれの片山は作品の創り方が独創的です。彼の頭の中にはどうやら現実世界とは全く別のおとぎの国(!?)が存在しているらしいのです。その王国の一場面を切り取って表現するのが彼のスタイル。まるで絵本に出てきそうな雰囲気を持つ作風は「子供の頃、絵本が大好きでかなりの数を読んでいた」事が影響しているのかもしれません。

今回メインとなるのは魚の頭(!)を持つカップルが相合い傘をしている様子を描いた立体作品「交差点でさかなに会った魚」。

ある日彼が渋谷のスクランブル交差点を歩いていると突然雨が降ってきたそうです。「都会で雨が降ると独特な匂いがしますが、アスファルトの濡れた匂いと埃のにおいや排ガスの匂い、人間的匂い…全部まざって洗ってない水槽みたいな匂いがして、暗い水の中にいるような感じがしました。そこで(僕はよくこんな事を考えたりして遊ぶのですが)その時交差点にいた人間全員を魚だと思って横断歩道を渡ってみることにしたんです。そうすると辺りが水の中に様々な魚が行き交うパレードのようになって数秒間が本当に新鮮でした。魚目線のまましばらく人間社会を眺めてみると街にはキラキラの熱帯魚や小魚だのがわんさかいて、中には弱って水面近くで横たわって口パクパク状態の魚なんかもいたりするんです。」

魚目線(笑)を通すと普段当たり前に暮らしている人間世界を新たな視点で見つめる事が出来ることに気づいた片山は今回の作品を制作するに至りました。

モチーフのカップルについては「この二人は特別に『誰』というものではなく、普通の人間社会でよく見られる光景なので描きました。」とのこと。「魚の目って何を考えているか良く分からないから嫌いという人が結構いたりしますが、人間でもおんなじような人がたくさんいて、この二人も楽しいの?楽しくないの?幸せなの?喧嘩中なの?仲イイの?…のように傍目からみるとはっきりとはわかりません。そういう人間の曖昧な表情みたいなものを表現するには男女関係というか、カップルを描くのが一番分かりいいと思いました。」

独特の「片山ワールド」を是非体感しにいらしてください!

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