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ご近所さんと文通(!)をしていたことがある。
前に住んでいた家の2軒先にある大きな日本家屋に住むおばあさまと。
白髪が素敵な80歳過ぎの品の良い素敵な方だった。

玄関先を掃除をしたり、ゴミを出したりしている時におばあさまが通りかかると軽く会釈をしたり、たまにちょっと雑談したりしていた。

ある日家に帰るとドアの前に小さな手作りの花束と達筆な字で書かれたお手紙が置いてあった。

「たまに今日は、と云うご挨拶で親しみを感じております。」
「もうお終いのこの小菊、失礼をも顧みず、乱れ菊のまだ見られるかもと云うところを切ってまいりました。」

生活に根ざした美。
美しい日本語。
とてもうれしかった。

何か御礼がしたかったけれどお店で買った菓子折りは違うと感じ、たまたま家にあった頂き物のりんごとみかんをお裾分けすることにした。
達筆ではないけれど元気だけはいい私の直筆(笑)の手紙を添えて、ちょっとドキドキしながらおばあさま宅の玄関先においてみた。

数日後、なんとも素敵な絵手紙がポストに入っていた!
おばあさま自らが描いてくださったもの。

それ以来、季節の花が咲くとおばあさまがお花を届けて下さり、私がお返事を返すというやりとりが何回か続いた。

帰宅してポストをあけるのがちょっと楽しみだったりして。
恋人からのラブレター(古いっ!)を待つのはこんな気持ちだったんだろうな、と古き良き時代の恋愛を想像してみたり。

ある時は私の手紙ばかりではつまらないと思い、小さなに娘に絵を描いてもらった。

「頂いた花を描いてね」
とリクエスト。

クレヨンの色を全色使い、これまた私の娘らしい、元気いっぱい勢いはあるが、花の具象がひとつもみつからない超カラフルで印象派な絵(笑)を描いてくれた。

おばあさま、とても喜んでくださりこんな絵手紙をくださった。

「力作を有り難うございました。
いつ迄も忘れません。
この絵、大事にしますね。」

その家からはもう引っ越してしまったけれど、アジサイがきれいなこの季節、ふとおばあさまのことを思う。

いつまでもお元気でいらしてください!!!

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