ミニアルバムの「顔」となったこの写真。
皆さんより前に私、撮れたてをお預かりしておりました。
「あ、これはモナリザだな。」と直感。
これまでのイメージ(特に" Trouble "の彩度の高い感じ)とは、全く違う印象に驚きました。
この一枚に示されたコンセプトを正確に読み解き、かつ、
「 いしかわかずはる 」への依頼の趣旨を充分受け取った上で、
最高の応えを返す。それが、今回のミッション。
先ずは、デッサン!
さすが美大出身!という感じのデッサン。
解剖学的にもバッチリ。
しかし、写真の図像には凄く近いのに、正確であればあるほど、
クリシャ(敬称略)からは遠ざかっていくような、謎の罠に独り没入しておりました。
こりゃいかん、気分転換に、肩の力を抜いて…というか全身脱力、
心もどこかへ放ちながら、ちょろっとラクガキ。
こちらも、あんまり似ていない。
あんまり似てないから、「Kriesha Chu」とくにゃくにゃの走り書きを添える。
でも、一旦、「こんな感じになります」というのを
お知らせすることになっていたので、両方の画像を提示。
「この中間になります」と言うしかなく、申し訳ない…。
と思っていたら、意外なお返事。
リラックスしすぎて崩壊寸前のラクガキが、かえってうけてしまった!!
社長さんが、私の文字を気に入ってくれて、重ねて超ビックリ!!!
そんなわけで、文字が入ることが決まったのであります。(^ㅅ^)/
この事件は、精神的に大きなプラス。
ロケットブースター付けられたかのような集中力で、完成まで疾走することが出来ました。
いしかわ のミッションは、写真を写すことではなく、
クリシャ・チュ(敬称略)の輝きを いしかわ らしく描き出すこと。
スケジュール上、会いにいくことは困難だったけれど、
「実際に目の前にいてお互い自然体」という状況に限りなく近づける必要がある!
写真は既に一枚の完成品。それを絵に描くなんて、そもそも私には無理なこと。
時間の流れの中で、自分のペースで、呼吸を合わせて、いつもどおり、いつの間にか…。
幸いなことに、
デビューからまだ半年だというにもかかわらず、溢れるほどの画像が公開されている。
多彩な表情を見せる彼女の、骨格や筋肉の動きの特徴、メイクの意味、
たっぷりと研究しました。
せっかくなので、一番助けられた動画をご紹介。
デビューが嬉しくておどけたり、きりっと引き締まったり、
そして、発声練習の横顔や、緊張をほぐすために唇ならしてる姿、
歌い終わった安堵と、感謝。
V LIVE - Kriesha Chu HOT DEBUT 인기가요<INKIGAYO>
それから、もう一つ。
フィリピンでのコンサート。
韓国からやってきたスターに、一生懸命「カムサハムニダー!!」と声援を送るお客さん。
感極まりつつも、しっかり英語で語りかけるクリシャ・チュ。
歌った歌は、韓国語でも英語でもなく、フィリピンの大人気バラード。
会場はもう、大興奮。
ああ、この人達が、このアルバムを待っているんだな…と実感。
私も胸が熱くなってしまった次第です。
そんなわけで、いよいよ完成。
3 ・ 2 ・ 1 ・・・
レオナルド・ダ・ヴィンチ や 長谷川等伯 の スフマート、
セザンヌ や ピカソ の キュビズム への共感と尊敬、
更に戯画の要素などなど、アート的諸々が駆使されております。
糸の縒り、緩急、交差、止め・払い、経験値もフル活用。
「いつもどおり」の状況を創ること、
普段の無意識を把握し、意図して自然になること。
おかげさまで、楽しむことができました。
私にとって「いつもどおり」とは、
例えば、静かに休んでいる猫を描く時、
一見じっとしているように見えても、ゆっくり呼吸をしているし、
不意にしっぽの向きを変えたりする、その「線」を捉えるということ。
木々を描くなら、風の揺らぎや、
地面から空へと向かうその形に結晶された時間を読むということ。
実は、この作品、
お預かりした写真とは、指の仕草、髪型、顔の角度、
左右の足への体重の掛かり方、おでこ、眉の開き、などなどなどなど…
全部違っているんです。
でもそれは、
シャッターが切られたその瞬間と、その前後、振り幅の大きなその前後、
私もその場に共に居て、ファインダーの先の「 クリシャ・チュ 」の
いきいきと生きている本質を受けとめることができた事を証明している…
そんな気がするほど、自負を持っています。
さあさあ、
自己満足に浸っている余裕はない! 締め切りは間近!!!!
今回、私自身で作品を撮影し、その画像を提出することになりました。
これもまた、チャレンジ。
室内での撮影もしたのですが、納得いかず。
やはり、瀬戸内の光と風の中にあるべきではないのか? と、心の声。
キャンバスに描いた作品を陽光に晒すのは、異例中の異例なのですが、
思い切って外へ。様々なシチュエーションを試す。
すると、その時!
奇蹟のような午後の光が差したんです。
これはきっと、私というより、クリシャさんの幸運が味方してくれたんだな
と感じ、本人の知らないところで「もってるなあ〜」とひとり感心。
この光がこの作品を仕上げてくれた…と思っています。
CDとブックレットに於いては、
全体のバランスを鑑みてモノクロバージョンとなり、
一粒で二度美味しい展開に。
このカラーバージョンの画像は、ネットやファンミーティング等にて公開中。
クリシャ・チュさんの新しい「顔」となることができて、光栄です。
本当にこれは、シンプルに、
良いのが出来た喜びと、認められた喜び。
そしてこの長文にお付き合い下さったあなたへ、
ありがとうございます!