2011年11月11日、ユカリアート・コンテンポラリー/YUKARI ART CONTEMPORARYはギャラリーオープン4周年を契機に「ユカリアート/YUKARI ART」として再スタート致します。今年は前身となるyukari-art, Inc.設立6周年でもあり、原点回帰をすると共に、先行き不透明な時代を生き抜くためより身軽にシンプルになって前進していきたいと考えております。今後とも皆様の温かいご支援、ご声援賜りますようどうぞよろしくお願い申し上げます。
リニューアル記念展として、2011年11月26日から12月10日まで吉田朗による個展を開催いたします。
吉田朗は主にFRP(ガラス繊維強化プラスチック)にエアブラシでペイントを施した立体作品で人間や現代社会が抱える問題や矛盾を風刺的に表現する作家です。
彼の作品はどれも一見親しみやすくポップに見えますが、そこにはいつも観る者をドキリとさせるようなアイロニーが込められています。見かけと中身、表面と内実の強烈な対比こそが吉田作品のおもしろさです。
今展では「犬張り子」と「木の玩具」(情操教育シリーズ)というあえて可愛らしい子供のおもちゃをモチーフに現在の日本の状況を批判的視点で映し出した作品群を展示します。
「犬張り子」は吉田作品の中で最も人気のあるシリーズのひとつで、香港最大の鉄道会社MTRのCity One(第一城)駅にも永久設置されています。大成功のうちに終了したシリーズでしたが、東日本大震災後の日本の状況を改めて見返す中で、新たな意味を見いだし震災後に再制作されました。日米関係を含ませて日本という国を「主人に従順な犬」、「中身のない張り子」と揶揄しながら、表面には洋金粉を用いてキノコ雲や放射状の拡散線、髑髏をペイントした作品です。
情操教育シリーズ「木馬」は私達が手にしている平和の不安定さ、兵器によって成り立つ平和のありようを揺れ動くロッキングホース(木馬)と広島型原子爆弾で表現した作品です。同作品は震災前に制作されましたが、奇しくも吉田の作品世界に現実が追いつく形になりました。
今展で発表される「犬張り子」と「木の玩具」には「現代日本の"幼児性"に対する批判的視点が込められている。」と作家は語ります。しかし、扱われているテーマとは裏腹に「造形的に極力美しく作り上げる。」のが作家の特徴であり、表面に施されたエアブラシによるペイントはプリントと見紛うほど繊細で、皮肉なほど美しくみえます。国内のみならず世界的に政情不安が続く昨今ですが、重苦しいテーマを扱いつつも作品が美しいことは激動の時代の先にある一筋の希望の光のように感じられます。約10点の作品を発表予定です。
貴社媒体でご取材、ご紹介賜りますようよろしくお願い申し上げます。
会場:ユカリアート YUKARI ART
営業時間:火〜土 12:00-18:00
休廊日:日月