東日本大震災の発生から5カ月が経ちました。震災以来、あまりにも考えさせられることが多く、書きたいことも多すぎて逆にこのブログから遠のいてしまっています。いつの間にか月1更新となってしまいました(--;)
この日本という国では当たり前の生活が出来なくなってしまいました。被害の激しかった地域を除けば一見世の中は平常通り。でも放射能汚染の激しい地域ではもはや子供を安心して外で遊ばせることができません。放射性物質は土壌にたまるということで砂場や藪の中といった子供が一番好きなところは避けるべきとか。幼少時代に一番大事なことって土遊びじゃないでしょうか。砂場で泥だらけになったり、お山をつくったりして想像力や五感を発達させること、それこそが最も大切な教育だと私は考えています。机の上のお勉強はもっと大きくなってからでいい。
それから私は「身土不二・しんどふじ」という考え方が好きです。元は仏教の言葉ですが、食の世界では「その土地でとれたものを、その食材の旬の時期に食べるのが一番身体に良い。」という意味。でも日本の多くの食材は汚染されてしまいました。あれだけ「国産、国産!」と騒がれていたのに。自分の国でつくられた食材を安心して食べることが出来ない時代が来るとは思ってもみませんでした。破棄された農産物や原発の避難地域で餓死する牛や馬や豚の姿を見ると胸が痛むどころか地獄絵巻と感じます。一体生産者さんたちはどんな思いでいるのか・・・。
そう、「土」とは人間の基本です。その「土」がだめになりつつある。人間のおかしてきたこれまでの悪い行い、傲慢の代償でしょうか。でも生まれたばかりの赤ちゃん、幼児に罪はありません。どうにかして子供たちを守っていかなければ!
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さて、本日からギャラリーでは川本史織による「男装と女装」と
五十嵐公による「36.5」のふたつの個展が同時スタートします。スペースがふたつあるユカリアートの箱を生かし、この暑い中お越しくださるお客様に少しでもお得な思い(!)をして頂けるよう「一粒で二度おいしい」(笑)ダブル個展の形をとらせて頂きました。
川本はここ数年撮り続けているアキバ(秋葉原)で活躍する女の子たちの写真と動画を発表します。彼がアキバを撮り始めた時、「とうとうはまったな!」と思いました。川本とのつきあいは長いのですが「何でも上手に撮れてしまうところ」が彼の長所であり短所。(ごめんね、しおり・笑)川本のどこをセールスポイントにするか?というのはずっと課題だった気がします。そのしおりがアキバにぴたりとはまった!アキバのアイドルを撮っている川本の生き生きしていること!まさに水を得た魚とでもいいましょうか。「アキバ系写真家・川本史織!」の誕生でございます(笑)本人がアキバ系なんでしょうね、アキバに生息する写真家が撮るアキバのアイドルの写真ですから彼が撮る女の子たちはとても自然で魅力的。アキバ住人同士のコラボレーション、見事な化学反応です。「今アキバがおもしろいから!」という理由で撮られた写真とは一味違います。正直なところ、このワタクシには全く秋葉原的要素がありません(笑)ただ、現代アートのギャラリーを主宰するものとして「何やらおもしろいカルチャーだな。」という認識はもちろんありました。しおりの写真を見てはじめて、家電を買うためではなく(笑)アキバに足を運んでみようかなと思いました。アキバの世界にご興味のある方もない方もどうぞご高覧くださいませ。
五十嵐公の写真は一貫して「なぜ人間は敵わないとわかっているものと共に生きようとするのか。」を問おうとしています。前回の個展「a tempo」では「穏やかな海で二人の少年が命を落とした」というニュースが発想のきっかけとなり「海」と「山」など制御しづらい自然物と「防波堤」や「スノーシェッド(雪崩よけ)」といった人工的な構造物に着目することで、原始の昔から変わることのない自然と人間の活動の在り方を表すことを試みました。個展終了後も同じテーマを突き詰め続けた五十嵐は東北の自然を撮る旅に出たのでした。そのタイミングでまさかの東日本大震災。「いがさんの撮ってきた東北の海を今だからこそ見せようよ!」と言う私に対して五十嵐は「なんだか震災に便乗しているような、ずるい感じがする。だからあえて海だけではなく、同じように撮りためてきた山の写真も出したい」と。もちろん、この私にも震災を利用する気など毛頭ありません、でもなんだかとても五十嵐らしいなと感じました。彼は常に強烈なメッセージによってではなく、見る側に想像という余白を残すようなシンプルなビジュアルで現実の一歩むこうにある悠久なる時の流れをとらえようとしているのです。未曾有の震災に見舞われた今でもそれは同じ。どうぞ皆様も五十嵐の作品の周りに流れるゆったりとした時の流れを感じにいらしてください。
展覧会詳細はこちらへ→川本史織「男装と女装」/五十嵐公「36.5」プレスリリース