震災から3ヶ月目を迎えた6月11日、大畑伸太郎の個展「生活」がはじまりました。日本では2年ぶりとなります。
「『夕日や朝日、雨の日の夜のアスファルトに映りこむ光、こんな当り前のように存在する日常生活の中の風景が明日には見ることが出来なくなったら』と考えると本当にかけがえの無いものだと感じます。そしてこの生活の中の光を残したいと思い制作しました。」と大畑。
計画停電などの電力問題が発生した時、真っ先に頭に浮かんだのが大畑の作品でした。彼は「光」を見事に表現する作家です。明け方の光、夕方の光、雨の日の光・・・そして都会の夜の光。コンビニやドラッグストア、ネオンサイン、車のヘッドライトや街灯が放つ都会の夜の独特の光を表現するのは大畑の得意技です。「夜の光」というものが豊かさと平和の象徴であったと気づかされた今、大畑の描く作品が一層ノスタルジックに映ります。
アーティストには夜型人間が多いですが、今回の作品を制作中に計画停電にみまわれた大畑は太陽の動きに合わせて制作していたとのこと。当たり前だけれどとても素敵です。
3月11日以来、全てが変わってしまいました。節電の影響で薄暗い街にもすっかり慣れた今、被災地以外の場所で目に映る光景は何ひとつ変わっていないのに実際には目に見えない放射性物質が身の回りを取り囲んでいます。残念ながら、もはやこれは日本に限った問題ではなくなってしまいました。人間が犯し続けてきた罪のツケがまわってきたのでしょう。どうやら私達がこの先生きていく時代はこれまでの社会システムが一度崩壊し、生まれ変わる過程のようです。今、この時を生かされているからにはしっかりと現実と向き合い、未来の子供達のために喜んで苦しみを受け入れなければならないと感じる今日この頃です。311の前、世界はとても美しかった、そしていつか本当の意味で美しい地球を取り戻して欲しいと思います。ごくありふれているからこそキラキラと輝く大畑が描いた日常風景の作品を前にそんなことを強く感じました。
★大畑伸太郎個展「生活」
2011年6月11日(土)~25日(土)
プレスリリース
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